PMS乗り換えで予約を落とさない手順|並行運用とOTA再連携
宿泊管理システム(PMS)を乗り換えても予約を落とさないための移行手順です。先に移すもの、並行運用の期間、見落としやすいOTAのマッピング作り直しを実務目線で解説します。

結論:順番は「棚卸し → 空の新環境づくり → 将来予約 → OTA切り替え」
PMSの乗り換えで予約を落とさないコツは、OTAの接続を最後に、しかも一度に切り替えることです。先にOTAをつなぎ替えると、部屋の紐付けがずれたまま在庫が流れ、ダブルブッキングや販売漏れが起きます。逆に、部屋・料金・将来予約を新システムに入れ終えてから接続を移せば、お客様に見える影響はほとんど出ません。
ただし、新旧を長く並行させるのも危険です。「在庫の正本はどちらか一方だけ」というルールを決め、並行期間は短くします。多くの人が見落とすのは、データ移行よりもOTA側のマッピング(部屋タイプ・料金プランの紐付け)の作り直しです。この記事では、運営者の立場から実際の流れを順に書きます。
- 現状の棚卸し(予約、部屋構成、料金、OTA接続、自動メッセージ)
- 新システムに部屋・ベッド構成と料金ルールを入れる(OTA未接続)
- 将来の予約を新システムに入れ、旧システムと照合する
- 切り替え日に、OTA接続を旧から新へ移す
- 切り替え後1〜2週間は、毎日予約件数と在庫を見比べる
1. 棚卸し:移行前に紙1枚にまとめるもの
作業を始める前に、次の項目を書き出してください。表計算ソフトで十分です。
- 将来の予約一覧:チェックイン日、泊数、部屋またはベッド、人数、支払い状況(OTA事前決済か現地払いか)、備考
- 部屋・ベッドの構成:個室、ドミトリー、ベッド数、部屋名の呼び方
- 料金ルール:季節料金、連泊割引、最低宿泊日数、販売停止日
- OTAごとの接続状況:Booking.com、Airbnb、Agoda、Expedia、Hostelworld、Trip.comなど、どこに何の部屋タイプを出しているか
- 自動送信しているメッセージ:予約確認、チェックイン案内、チェックアウト後のお礼など
- 宿泊者名簿・本人確認の記録:旧システムに溜まっているデータ
宿泊者名簿は、旅館業や住宅宿泊事業(民泊)で備え付けと保存が求められる書類です。保存期間や形式の扱いは、所管の保健所や自治体で確認してください。旧システムを解約する前に、過去分をエクスポートして自分の手元に残しておきましょう。解約すると見られなくなる契約は珍しくありません。
2. 先に移すもの、後に移すもの

| 順番 | 移すもの | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 部屋・ベッド構成 | 予約も料金もOTAの紐付けも、すべてこれが土台になります。 |
| 2 | 料金ルール・販売停止日 | OTAとの初回同期で、ここが空だと誤った料金や在庫が流れます。 |
| 3 | 将来の予約 | 直近のチェックイン日から順に入れます。 |
| 4 | スタッフのアカウント・権限 | 切り替え日までに全員がログインできる状態にします。 |
| 5 | OTA接続 | 最後です。切り替え日に一度にまとめて行います。 |
将来予約の移し方(手入力か、ファイル取り込みか)は、旧システムと新システムの仕様によります。予約が数十件までなら手入力でも現実的ですが、その場合は入力ミスを前提に照合の時間を確保してください。
照合は自分の数字でやる
予約を入れ終えたら、旧システムと新システムで次の3つを突き合わせます。
- 切り替え日以降の予約件数
- 日別の稼働室数(ベッド数)
- OTA事前決済分と現地払い分の合計金額
3つとも一致すれば、データ面ではほぼ安全です。一致しない日があれば、その日の予約を1件ずつ確認します。
3. 並行運用はいつ、どのくらいやるか
並行運用の目的は、新システムで実際の予約を見て、設定ミスに気づくことです。長くやる必要はありません。長引くほど、二重入力の手間と入力ミスが増えます。
私たちのおすすめは次の形です。
- 切り替えの数日〜1週間前:新システムに部屋・料金・将来予約を入れる。OTAは旧システムにつないだまま。新規予約が入ったら旧システムから新システムへ反映する(この間の正本は旧システム)。
- 切り替え日:OTA接続を新システムへ移す。この日から正本は新システム。
- 切り替え後:旧システムは参照専用で残し、予約が正しく入っているか1〜2週間確認する。
気をつけたいのは、新旧どちらからも同じOTAの同じ施設に在庫を送らないことです。多くのOTAでは、複数のチャネルマネージャーを同時につなぐ運用を前提にしていません。各OTAの案内で確認してください。
もう一つ、地味に困るのが自動メッセージの二重送信です。新旧両方で「チェックイン案内」を送る設定のままだと、同じお客様に2通届きます。切り替え日に、旧システム側の自動送信を止めるのを忘れないでください。
切り替えは繁忙日を避ける
チェックインが少ない曜日の午前中など、予約の動きが少ない時間帯に行うのが無難です。大型連休や大きなイベントの直前は避けます。切り替え中に入った予約を拾い漏らすリスクが上がるためです。
4. 見落としやすいOTAのマッピング作り直し
データ移行がうまくいっても、トラブルの多くはここで起きます。OTAとPMSの間には「このOTAの部屋タイプ・料金プラン=PMSのこの部屋」という紐付けがあり、PMSを変えるとこれを作り直すことになるからです。
つまずきやすい点
- 部屋タイプ名が違う:OTA上の「ダブルルーム」と、新システムの「Double 201〜205」をどう対応させるか、自分で決める必要があります。
- ドミトリーの扱い:OTAによっては、ベッド単位ではなく「部屋タイプの在庫数」として扱います。ベッド数と在庫数が合っているか、1部屋ずつ確認します。
- 料金プランの紐付け:返金不可、朝食付き、連泊割引など、プランごとに対応を作ります。1つ抜けると、そのプランだけ在庫や料金が更新されません。
- 既存予約の紐付け:切り替え前に入っていた予約が、新しい紐付けとうまく結びつかない場合があります。変更やキャンセルが来たとき、手作業での対応になる前提で、該当予約の一覧を手元に置いておくと安心です。
- 初回同期の上書き:接続直後の最初の同期で、新システムの在庫・料金・販売停止日がOTA側を上書きします。新システム側の在庫が実際と違っていると、そのまま公開されてしまいます。
初回同期の前にやること
接続する前に、新システムのカレンダーで次の4点を確認します。
- 満室の日が満室として表示されているか
- 清掃・メンテナンスで止めている部屋が販売停止になっているか
- 最低宿泊日数や販売停止日が反映されているか
- 料金が旧システムと同じか(意図して変える場合を除く)
接続後は、OTAの管理画面を開いて、直近2週間の在庫と料金を新システムと見比べます。1つのOTAずつ進め、問題がなければ次のOTAへ、という順番にすると、問題が出たときに原因を絞り込みやすくなります。
5. 切り替え当日と直後のチェックリスト

- 旧システムの予約一覧と、新システムの予約一覧を印刷またはPDFで保存する
- 旧システムのOTA接続を解除する(先に解除してから、新システムで接続する)
- 新システムでOTAを接続し、マッピングを確認する
- 初回同期後、OTA管理画面で在庫と料金を確認する
- 旧システムの自動メッセージを停止する
- スタッフ全員に「今日から入力はここ」と周知する
- 決済や入金の確認手順が変わる場合は、その手順を共有する
切り替え後の1〜2週間は、毎朝、OTAから届く予約通知と新システムの予約件数を見比べます。通知はあるのにPMSにない、という予約が1件でも見つかったら、そのOTAのマッピングを疑ってください。
Kimchee PMSで移行する場合の補足
Kimchee PMSは、釜山で3つの宿を自分たちで運営している私たちが作ったPMSです。チャネルマネージャーは追加料金なしで含まれ、Channexを基盤に490以上のチャネルに対応しています。Booking.com、Airbnb、Agoda、Expedia、Hostelworld、Trip.comは接続先として明記できます。対応チャネルの詳細はチャネル一覧をご覧ください。
料金は部屋数で決まり、機能は全プラン同じです。長期契約もありません。並行運用の期間が延びたときの費用を読みやすい、という点では助かります。詳細は料金ページで確認できます。
導入前に知っておいていただきたい点もあります。ゲスト向けのページは日本語に対応していますが、PMSの管理画面は現時点で韓国語と英語です。スタッフに使ってもらう前提で、画面の言語はあらかじめ確認してください。
機能の全体像は機能ページにまとめています。よくある質問はFAQにあります。
まとめ
乗り換えで予約を落とさないために、次の4点を押さえてください。
- OTA接続は最後に、まとめて切り替える
- 並行運用は短く、在庫の正本は常に1つ
- OTAのマッピングは「作り直す前提」で時間を取る
- 初回同期の前に、新システムの在庫と料金を必ず確認する
自分の宿の部屋数やOTAの構成で、どこが難所になりそうか相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。
